クリニックについてABOUT

ごあいさつ

正常眼圧緑内障(NTG)を専門とする医師へと変身してから3年が経過し、NTG治療を根底から変革したという自覚と自信を得られました。
眼圧は10mmHgを下回る数値でありながら、病状(視力・視野)が悪化していきます。その状態を食い止め、改善させなくては患者さんはいずれ失明してしまいます。眼圧が低いこの時点において、緑内障に対する世界唯一の標準治療である「眼圧下降」という治療手段はすでに力尽きています。NTGにおいて、眼局所の治療(眼圧下降)で対処する時代には区切りをつけるべきです。対症療法である〝眼圧の呪縛〟から患者さんを解放すべきです。私はNTG発症の真の原因を追究し、その原因に則した治療を3年間実践してきました。わずか3年ですが、緑内障神経再生治療の発想によってNTGに対する治療は完全にパラダイムシフトしました。
緑内障発症の過程で発生する細胞事象と細胞反応について、分子レベルの視点で治療を組み立てなければ、NTGという病気とはまともには戦えないというのが、臨床医として37年間にわたって病気と格闘してきた私の結論です。私が導き出したNTGの新定義(仮説)は以下の通りです。

NTGにおける網膜神経節細胞(RGC)死の原因は、異常タンパク質の蓄積によってRGC障害をきたす視神経症のバックグラウンドを持つ病態に、慢性炎症にともなってマトリックスプロテアーゼ(MMPs)が産生され、篩状板の細胞外マトリックス(ECM)が分解される。さらに加えて、非生理的AGEs架橋(悪玉架橋・老化AGEs架橋)でコラーゲン強度が低下し、篩状板の変形にともなう軸索障害による二次的障害が併発した病態時に発症する〝神経変性疾患〟である。

つまり、RGCと視神経線維束をささえる篩状板ECMの2つの障害によって発症する神経変性疾患です。神経変性疾患ではアルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などが代表的ですが、それらにはない、眼という臓器にしか存在しない篩状板組織の障害が特徴的で、篩状板という存在はあまりにも自然であるがゆえに、眼科医がNTGの病因・病態を見抜くのに翻弄されてきた所以であると考えられます。
RGCとECMの障害原因は、慢性炎症・慢性炎症性疾患(基礎疾患)であり、その細胞内では、インスリン抵抗性・ミトコンドリア機能障害・時計遺伝子発現異常が存在しています。さらに付け加えると、RGCだけではなくグリア細胞にも同様の障害が発生している「ニューロ・グリアネットワーク障害」側面も考えられます。これらのことから、眼圧下降一辺倒の治療では緑内障に勝てないことは、世界中の眼科医とその患者さん達がすでに経験済みです。単純な眼科疾患ではない緑内障のなかでも特にNTGは、神経変性疾患の枠組みに含まれ、網膜→視神経→脳の視覚野までの視覚経路全般の「視神経病」であって〝眼球病〟ではないことを改めて認識する必要があります。

NTG治療が目指すべきポリシー
NTGの生涯ケアと全身(心も含めた)ケアのトータル的なケアです。すなわち「全人的医療」です。眼という特定の臓器に限定せずに、患者さんの家系的背景や食生活などの生活習慣、ストレスや社会との関わりなども含めた広範に考慮しながら、個々人に則した総合的な治療や予防を実践することが大切です。そうして医師は、患者さんにとっては、さまざまな医療情報を提供するハブ的な存在となり、眼科以外の必要な全科に受診を勧める司令塔になるべきです。
実際に次のような例があります。かかりつけの眼科で眼圧は常に10~12mmHgと良好にコントロールされている患者さんが、眼圧は正常なのに病状が悪化するばかりだと悩み来院されました。その患者さんの不都合な病気を見つけて、歯科(虫歯・歯周病ケア・銀歯除去)、耳鼻科(睡眠時無呼吸症候群)、糖尿病専門内科(メタボリック症候群・脂肪肝)の各科受診を勧め、各科を受診して治療を受けただけでNTGの進行が停滞したのです。このような症例は、当院では数えきれないほどあります。
重要なことは、患者さんの心身の変化を見逃さないことです。「木を見て森を見ず」という諺があります。木=眼、森=全身に置き換えてみますと、全身環境を良くしなくては眼(緑内障)は良くならないことが見えてきます。前回の診察から今日の診察に至るまでの間に、眼科以外の体調の変化がないか? 他科を受診していないか? 指導とおりの食事をしているか? 夫婦や家庭環境に変化はなかったか? 仕事のストレスは抱えていないか? などなど、様々なお話をしてもらいます。その中にNTGの発症リスクが見つかることがあるからです。医師は患者さんとの何気ないやり取りから、表情や体型、仕草を注意深く観察して、小さな変化を見落とさないようにしなくてはなりません。患者さんの身体や病気のことだけではなく、患者さんの日常に起こるすべてを把握する、患者さんのすべてを受け入れる覚悟をもって診察に臨まなくてはいけません。
このように患者さんと接するため一般的な眼科診察の時間では不十分なため、初診時の診察時間は1時間半~2時間ほどかかります。そのため1日に診察できる人数がわずかとなり、初診の予約では1か月以上患者さんをお待たせしてしまっていることが悩みの種といいますか、NTG治療の改善すべき一番の課題です。

院長 高柳 芳記 Yoshinori Takayanagi

院長プロフィール

1984年 杏林大学医学部卒業、同大学眼科学教室入局

1985年 国立国際医療センター眼科勤務

1986年 東京都千代田区御茶ノ水 井上眼科病院勤務

1989年 第 1 回日本眼科学会専門医認定

1989年 医療法人社団 高柳眼科を釧路市に開業

1998年 順天堂大学病院の河盛隆造特任教授(元日本糖尿病学会総会長、元日本糖尿病合併症学会会長)に師事。糖尿病内科専門外来を導入

2008年 がん統合補完医療外来、増設

2012年 細胞培養加工施設(CPC)併設のがんメディカルクリニック CARNAMED を札幌市に開院

2014年 高柳眼科クリニック札幌院を開院

2020年 正常眼圧緑内障(神経保護・再生)治療を開始

クリニックのご案内

クリニック入り口
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円形デザインの診察待合室
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図書館のような診察室
図書館のような診察室
無菌室の細胞培養加工施設(CPC)
無菌室の細胞培養加工施設(CPC)
清浄度クラス10,000というハイレベルな施設内でインスリン点眼などを調合します
清浄度クラス10,000というハイレベルな施設内でインスリン点眼などを調合します