診療科目MEDICAL

神経を減らさずに視神経再生を期待する
眼科神経再生治療
※萎縮型加齢黄斑変性が適応の治療です

視界を守る。神経の細胞死を抑える

加齢黄斑変性とは

神経変性疾患のなかの重篤な一疾患

加齢黄斑変性は、網膜の中心部分(黄斑部)に出血やむくみをきたし、視力が低下する病気です。具体的には、物が歪んで見える(変視・歪視)、小さく見える(小視症)、真ん中が見えない(中心暗点)などの症状が現れます。主な原因は加齢ですが、紫外線・喫煙・遺伝、肥満などの生活習慣などがリスクをさらに増加させるといわれています。
加齢黄斑変性には大きく「萎縮型」と「滲出型」の2つのタイプがあります。萎縮型に対する有効な治療法は残念ながらありません。そして滲出型では、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を阻害する対症療法などがあるに留まります。
加齢黄斑変性と正常眼圧緑内障は、慢性炎症が関与し、それを病態の基盤として発症する神経炎症性疾患です。さらに病態が進行することで、最終的には「神経変性疾患」であることは、神経科学者の共通認識となっています。
さらに、あらゆる神経変性疾患の病理組織学的所見と共通して、異常(変性)タンパク質の蓄積であることは揺るがし難い所見といえます。加齢黄斑変性では、それを肉眼で確認することが誰にでもできる疾患で、それはブルッフ膜に貯留する細胞外沈着物のドルーゼンです。アルツハイマー病における老人斑に相当するように思えます。
ドルーゼン内にはアルツハイマー病に蓄積するアミロイドβも認められますが、過酸化脂質も認められます。さらに、網膜色素上皮(RPE)や視細胞の細胞内に、パーキンソン病に認められるαシヌクレイン(異常タンパク質の1つ)が主に認められることも特筆するべき所見です。

滲出型は萎縮型の病像で始まり、そのうちに新生血管を伴う時期から滲出型としての病像が現れます。
新生血管の発生や成長を抑制する治療は保険治療で行なわれますが、萎縮型の病像部分(再生治療部分)は自由診療です。

※混合診療となるため、当院では滲出型の治療は行なえません。

萎縮型加齢黄斑変性に対する治療方針

良い方 (未発症)の眼にも再生治療を施し、発症を食い止める

加齢黄斑変性という病気の恐ろしいところは、不可逆性(元には戻らない)変化、つまり、細胞の構造変化にともなう機能不全(組織のリモデリング)を生じることです。炎症細胞による組織傷害・破壊・線維化といった経過が認められ、長期にわたって「組織破壊」と「修復」の過程が併存して進行していきます。そのため、長期的には細胞が元には戻ることがありません。網膜の構造が変化してしまって元の健康な網膜には戻らない、ということです。皮膚の傷で説明するのが分かりやすいと思います。皮膚の同じ場所で傷が何度も繰り返されると、皮膚が硬く厚くとなるように、網膜も傷とその修復を繰り返すことで、網膜が分厚く硬くなってしまいます。このように変形してしまった網膜では、病気前のきれいではっきりとした見え方にはなりません。このように網膜が分厚くなってしまう前に、再生治療を付加することをお勧めしています。

治療の特徴(メリット)

  • 良い方(未発症)の眼に対する発症抑制効果
  • 神経の細胞死を抑える(進行を食い止める)
  • 視神経の再生が期待できる(症状の改善)

治療の流れ

1 検査と診察

視力検査、眼底検査、光干渉断層計(OCT)検査などの検査情報をもとに診察をいたします。
他病院での治療情報や診断情報、紹介状がある場合は診察のみとなります。

2 栄養素療法と薬の処方

加齢黄斑変性の進行状況を把握し、全身の健康状態についてもお聞きした上で、栄養素療法(食事や生活習慣についての指導)を行ないます。病気が進んでいる方には、薬物療法(分子シャペロン誘導剤)・再生療法(インスリン/シチコリン点眼・点鼻)を同時に行ないます。
※健康保険の利かない自由診療(10割負担)の治療です

治療の詳細は下記をクリックしてください

3 定期的な通院

病状によって異なりますが、治療開始2年間は6か月ごとの受診、その後5年目までは1年に1回程度の通院となります。
※遠方で通院が困難な方はご相談ください。オンラインによる診察にも対応したします